第1章

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だいたいの役が決まったところで、 今日は解散することになった。 またトラックの暑い排気ガスにもまれながら 綾美といっしょに帰った。 「なぁ麻夏」 「ん?」 「あたし別れてんか」 「……へっ!?高橋くんと?」 「うん。」 綾美と高橋くんは同じ中学出身で、その頃から下の名前で呼びあってたけど、綾美は全然意識してなかったみたい。 高校に上がるとき高橋くんから告られて付き合った…って聞いた。 「なんでまた…」 「やっぱあたし、追わな燃えへん人みたい」 そんなんで別れていいの、って聞こうとしたけど、やめといた。 「やっぱ自分も好きで相手からも好きでいてもらわな意味ない気がしてさ。拓也には申し訳ないけど」 「あ~…うん。それはめっちゃわかるで。」 「ほんまに?わかってくれる?」 「うん。あるよなそうゆう時。」 「やんな!まぁでも今はすっきりさっぱりしてる」 「そっか~ほんなら頑張って新しい恋見つけちゃってよねぇ」 「うん!綾美は頑張るぜぃ」 その時あたしは綾美が納得できるようにすればそれでいいと思った。 あたしも同じ立場なら同じ行動してたと思う。 その時は。
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