第1章

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最後まで読み切ってもあたしはテンションを上げることができんかった。 多分、めちゃ嫌そうなのが顔に出てたかもしれん。 みんなに楽しくやってもらいたいけど、どうしても自己中になってしまう。 そんなわがまま言ってる自分に、腹が立つ。 「なぁ木村さん、看板の文字やっぱ段ボールで作ってみようと思うねんけどどう?」 気付けば女子はあたしと西山さんだけになってた。 もう3時まわってる。 さっきの盛り上がりはもうない。 「うんいいと思う!手伝うわ!あたしでよければやけど」 「木村さん、美術2やもんな」 半笑いで西山さんはそう言った。 「あれは先生があたしのすばらしいセンスがわからへんだけや」 「ふーん」 「何よ~その気ぃ抜けた返事は!」 「それにしても西山さんやっぱ絵上手やな~さすが美術部」 廊下に置いてある看板には 西山さんの細い白い腕からは想像つかんくらい迫力あるイラストが書かれてた。 「木村さーん!」 教室から上田くんの声がした。
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