1996

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翌日、美香子以外は出かける支度をすませ叔母の到着を待っていた   「真美おばちゃん、遅いねー」   甘えん坊の美香子は母親の側を離れない   兄たちはリビングのソファーに腰掛けテレビを見ている       ピーンポーン     玄関のチャイムが鳴った   「来たー!!」   美香子は母親と共に叔母を出迎えに玄関へと向かう   「遅い!!」   ドアを開けると同時に母親が叔母に言った   「ごめん、ごめん。ちょっと寝坊しちゃって」   美香子の母親より6才下の叔母は肩より少し長いロングヘアーがよく似合い、モデルのようなスタイル   そんな叔母を小さいながらも美香子は大人の女と感じ憧れていた     「真美ちゃん、悪いね~」   部屋の奥から荷物を持った父親がやって来た     「お義兄さん。いえいえ、私こそ遅れちゃってごめんなさい。飛行機の時間は大丈夫?」   「大丈夫、大丈夫。真美ちゃんは遅れると思って時間に余裕を持たせてたからね」   「あははは……」   「じゃあ留守の間、美香子をよろしくね。明日の夜にはお土産持って帰ってくるから」   母親は美香子の頭を撫でた   「ママー、美香子も行く!!」   「美香ちゃんは小さいからお留守番。いい子にして待ってるんだよ?」   美香子は一度はガックリ肩を落としながらも「気を付けてね!!」と元気に見送った       一同は二人に手を振ると家を後にした   この時この別れが永遠になると思った者は誰もいなかった      
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