1996

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叔母は警官に美香子をお願いしベットへ近づいた   ベットの膨らみには布が一枚ずつ     叔母はその布をゆっくりめくった     「…ぅ…っぅ……お、お姉…ちゃん」   叔母は布をめくるやすぐさまベットへ被さるようにして泣き始めた   「おばちゃん?」   「あ、ちょっと!!」   美香子は泣いてる叔母の元へ歩み寄った   警官が止めるのも構わずに   「う"ぅ"……み、美香子は来るんじゃない!!」   叔母は泣き声で怒鳴った   それでも美香子は歩みを止めない   「美香子!!!」   美香子は叔母の隣に立ち、布を全てめくった     「うぁぁああああー――!!お姉ちゃん!!お姉ちゃん、お姉ちゃん、お姉ちゃん!!!」     そこに遺体はなかった   あったのは4つの物―――     肘からちぎれた腕 胸 太もも 膨らんだ黒い袋     もう一つのベットも似たような状態で顔の半分が無くなり、なんとか父親であると確認出来る状態   「ままぁ…」   美香子は目の前にあるのがなんだか認識はしていなかった   けれど指にあった指輪が母親の物であると分かり、恐らくコレは母親なのだろうと思った         しばらく泣いていた叔母も時間がたつにつれ落ち着きを取り戻した   「美香子、さっきは怒鳴ってごめんね」   「ううん」   叔母は椅子に座る美香子の目線に合わせてかがみ話し続けた   「美香子、これからは…おばちゃんと一緒に暮らそう?」   「みんなわ?」   「…み、みんなはね……」   叔母は必死に説明をした   果たして5才の子供がどこまで理解してくれただろう   その答えは分からなかったが泣いている自分の手をしっかり握り、「大丈夫?」と語りかけてくれるこの子を絶対に守ろうと叔母は自分に誓った      
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