『二人の出会い』

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裕二がリビングのドアを開きながら 『行ってきます』 『はぁ~い 行ってらっしゃい ボリボリバリバリ』 リビングのソファーで寝転んだまま ワイドショーを観て笑いながら 煎餅を口に挟み 富美子が裕二を見送る 裕二は玄関のドアを開け 小さな車に乗り込む 大きな身体には 軽自動車は拷問だ 運転席に座り シートベルトを絞めれば こりゃまた 紐で縛られた チャーシューの出来上がり しばらく走っていると 暖房も使ってないのだが… 車の窓が真っ白く曇っていく 12月の寒さの中 汗をかく裕二は 冷房をいれる始末 小さな車内で身を小さくして 車は進んでいく コンビニではなく スーパーに立ち寄って 菓子パンと牛乳を手にとりレジへ向かう 表示された金額は 1001円 財布から千円札と ズボンのポケットから小銭を出そうとするが ズボンがパンパンで 手が入らず 渋々、もう千円札をレジに置いた。 『2000円で よろしいですか?』 『はい…』 ポケットには 静かに眠る1円玉
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