『二人の出会い』

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『999円の お返しになります』 お釣りを受け取る為に 裕二が汗ばんだ掌を広げ 前に差し出すと 遥か上から 999円が 裕二の掌の上へ落とされた。 『ありがとうございました』 裕二は掌を握り締め 菓子パンと牛乳が入ったカゴを片手に レジから消えた。 『感じ悪い店員だ 明日から、別の店にしよう』 袋の中へ商品を入れ 足早に車へ乗り込んだ。 車に乗ると 先ずは、500mlの牛乳パックを開け 右手はハンドル 左手で菓子パンを持ちながら 両手が塞がった状態でも 問答無用で、また 車の中の窓は 一面の白い曇りでうめつくされた。 裕二の身体からは うっすらと湯気が立ち上っていた。
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