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その白く曇った車の窓の外で
『今日の放課後
EXILEの新曲買いに行こう』
『えぇぇぇ~
まだ買ってなかったの?』
『エヘッ
お小遣いがピンチで』
『EXILEファン
失格だよ、美咲は』
登校している途中の
美咲と杏奈
その脇を裕二の車が走り抜けていった。
真っ白な窓からは
お互いの顔など見えなかった。
美咲の通う高校と美咲の家の中間に
裕二の勤める塾が建っているのである
二人は知らず知らずのうちに
すれ違っていたのだった。
真っ白な曇った窓ガラスが
マジックミラーの役割をしていただけで
二人の距離は
意外に近い距離だった。
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