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『はぁ~ぁ』
大きな溜め息一つを吐き出し
ゆっくりと椅子に腰掛ける冴えない男が
鈴木裕二(すずきゆうじ)
本当に冴えない男であった。
彼は35歳
ボサボサ頭で、黒い縁の眼鏡をかけ
2.3日は剃っていないであろう無精髭を生やした
小太り以上な男
身長は183cm
体重は108kg
筋肉質には程遠い
立派なメタボ腹
パンパンなスーツを着て
11月というのに
額には無駄に汗をかき
何もしていないのに
ただ、椅子に座っているだけなのに
『ハァハァ』
と、無駄に息を切らしている
そんな冴えない男なのだが
有名大学の大学院卒という輝かしい肩書きで
塾の講師という、職業についていた。
名の通った進学塾で
学歴を含め彼はエリートと呼べる男
それは、仕事に措いてだけである。
彼も結婚はしていて
33歳の時に見合い結婚した。
その妻は裕二に勝るとも劣らないお腹を従え
そのお腹には…
新しい生命を宿しているわけでは無く
古くからの脂肪を蓄積させているだけであり
端から見れば
お似合いの夫婦である。
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