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『キーンーコーン』
『じゃあ今日は
これで終わります』
『起立、礼、着席』
また、重い身体をノッシノッシと従えて
裕二は教室を出ていく
『あの高見盛の奴
ズボンの裾を伸ばせよ
お前の豚足なんか
絶対食わねーよ』
『一教科終わって
何であんなに汗だくなの
本当にキモイよね』
そんな声が湧き上がっているのを聞いて
『あぁ~腹減った…』
そう言いながら
裕二は準備室へと消えていった。
裕二には、こんな仕事しか出来ないのだ
勉強だけは、人一倍やってきた
そして、名のある大学を経て
名の通った証券会社に入り
挫折して、この塾講師という職業にたどり着き
今の生活を手に入れた。
生徒達に好かれていない事も
薄々は気づいている
生徒達から相手にされていない事も
薄々は気づいている
それでも勉強だけは
生徒達に教える事が出来るし
生徒達よりは勝っているんだと
今日も、大好きな菓子パンをかじり
今日も、大好きな牛乳を飲みながら
1日が終わっていく
勉強だけは、人一倍頑張ってきたんだ
みんなが遊んでいるときも…
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