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仕事が終わり
家に着くと
『ただいま』
一人呟き
玄関を上がっていく。
『ガチャ』
リビングへ入ると
海馬(トド)がソファーに横たわっていた
裕二が目を擦ると
海馬が人間の女性に姿を変えた。
この海馬
いや、女性は
裕二の妻である
富美子(ふみこ)35歳
『あっ…おかえり』
『ただいま』
『ヨッコラセ』
と、一声上げて
台所へ向かっていく
味噌汁を火にかけ
ダイニングのテーブルの上の
鳥の唐揚げを一つ摘んで
口の中へ投げ入れ
炊飯器から御飯を丼によそって
テーブルの上に茶碗を置くと
唐揚げを一個
口の中に放り込んで
味噌汁の火を止め
味噌汁をよそって
テーブルの上に置き
唐揚げを一つ
口の中に投げ入れて
今度はお茶を汲み
テーブルの上に置くと
今度は椅子に座り
唐揚げを一つ
口の中に放り込んで
『じゃあ食べましょう』
と、富美子は裕二に言った。
裕二はスーツの上着をハンガーに掛け
ゆっくりと席に座り
テーブルの上を一望してから
『いただきます』
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