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「ちょいと、あんたどこ行ってはったんよ!! 役人が店先をうろちょろしてる、いうのに」
女の人も、やっぱり着物を着ていて、黒髪を結っていた。
「ははは、それはすまんかったなあ」
大きな声で笑う「坂本」さん、女の人はかなり怒ってるっぽいのに、全然堪えてない。
しかも、「龍馬」て、呼んでいた。
どういうこと?
坂本龍馬ごっこにこの人も乗っているってことかしら。
「で、この子はどうしたんよ」
女の人が鋭い目つきであたしを捉える。
美人ににらまれると、ちょっと怖い。
「そこの山で会うたぜよ。名前が、万里、ちゅう」
「マリン?」
女の人までそんなことを言う。
「ははは、やっぱお龍は面白いぜよ」
……どっちもどっちだ、あたしからすると。
「そうぜよ。ここまで連れて来てしもたが、おんし、今夜は寺田屋でわしと泊まるかあ!!」
「なぁにアホなこと言うてるの!! どこのお嬢さんよ、家に送ってさしあげいや」
お龍さんと呼ばれた女の人は、とても強い口調でまくし立てる。
まったく、その通りなんだけど。
「あたし」
二人のやり取りを眺めていたあたしが口を挟む。
「ここに泊めて下さい」
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