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目を開けるとなんて事はない、毎朝毎晩見上げる天井が視界に入る。
今朝の私には、普段夜は見えるのに朝は見えない天上のシミの数を数える事が出来るようだ。
起床したばかりなのに珍しく目が冴えているらしい。
けれども、数えている最中に少しだけ頭痛がして、シミを数えるのをやめた。
余計な事をしても、無意味なだけだ。
仕方なくのそのそと起き上がって布団から出た私は、少し小さなあくびをして窓の外を見やる。
外は薄暗く人一人歩いていない。
鳥の姿も見る事が出来ず、ただ静かな街の景色が広がっている。
私にとってはいつもよりとても早く、まだ夜明けすら迎えていないこの早朝に起床した。
それはごくまれな事。
二年前の今日までは、今よりも少し遅めの時間に目を覚ましていたが、それは私を起こす人が居たからなしえた事だった。
けれども、その人物が居なくなった二年前を境に、私の生活は不規則なものへと一転している。
それからの私の起床時間は常に変動し、周囲の人々もそれに翻弄していた。
例えば私が朝食の準備を任されていた日は大変な騒ぎになったらしい。
なかなか起きて来ない私を待ってみんなはお腹を空かせていたのだ。
……それ以降、朝食を採れないのが嫌なのか、私が当番の日だけ起こしに来るようになった人が居るが、基本的には殆ど起こされる事はない。
一人で起きるのが当たり前と言ってしまえば、それでおしまいだけれども。
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