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主役と雪子
>こんな時間に目が覚めてしまったようだ。
水でも飲んでこよう…
隣でスヤスヤと寝息をたてている雪子を起こさないよう注意しながら階段を下りる。
蛇口をひねりコップに水を注ぐ。
引っ越す前にいた所と違いここは水道水でも十分美味しい。
ここに着てから色々なことがあったな、
とふと考える。
こんな事が起こると誰が予想できただろうか。
いや、あの部屋の二人ならそれくらい知ってそうだと思い、
軽く笑みがこぼれる。
…?
と、
物思いにふけっていると何か物音が聞こえた気がした。
水をぐいっと飲み干し部屋に戻ることにする。
過剰反応だろうかとも思ったが階段を上り自室に向かう。
あんな事件が起きたのだ、
用心するに越したことはない。
今この家には自分と雪子しかいない。
まずは雪子の安否を確かめるが先決だ。
キィと扉を開け部屋を確認すると雪子が窓を開け外を眺めていた。
月の光を受けたその姿は神話から出てきた女神のようで、
息をするのも忘れてしまいそうだ。
するとこちらに気づいたのか首をかしげながら微笑みかけてくる。
「どうしたの?なんだか様子が変だったけど」
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