人生最悪の日

10/19
前へ
/350ページ
次へ
「何で爺ちゃんがここにいるのさ?ここは爺ちゃんの家なのか?」 「うん?…まあ、そんな所かのぅ…」 宗太郎は瞬の問いに、歯切れ悪く答える。 「まあ、それより瞬や、久しぶりだのぅ。道中大変だったみたいだしな?」 瞬は、道中で思い出した。 「そうだっ!爺ちゃん、美音ネエは?」 「美音嬢ちゃんかい?嬢ちゃんならお前を送った後、別室に閉じこもってるが…」 閉じこもってる? 「何でさ?」 「さあのぅ?ただ、何やら呟いていたみたいだが…」 確か…と、宗太郎は白髪頭を掻きながら語る。 「『興奮したって……でも、瞬坊は……でもでも、男の子だし…』とか何とか…顔を真っ赤にしながら呟いていたぞ?何か嬢ちゃんにしたのか?」 瞬は考えた。…が、意識が飛ぶ前の事は曖昧過ぎてよく覚えていない。 「…さあ?」 「そうか…まあ、気にする必要は無いじゃろう…大した事では無いだろうしな…」 それより…と、宗太郎はいきなり姿勢を正し、瞬と正面から向き合う。 「瞬よ…実は頼みがあってお前をここに呼んだんだ…」 祖父の只ならない雰囲気に、瞬も姿勢を正して聞く。 「頼み?」 「うむ……そういえば、お前は自分の父親の事をどこ迄知っている?」 「父親?…父さんは確か…世界中を旅してて、今は消息不明じゃないの?母さんから聞いた話だから信憑性皆無だけどさ…」 「…そうか…やはり、華澄さんは話していなかったか…」 「へ?」 「瞬や…お前の父親はな……ヤクザだ」 「はい?」 「しかも、関東圏最大の暴力団。関東竜神会の二代目をしていた」 「はいぃぃぃぃっ!?」 いきなりの新事実に、瞬はのけ反った。
/350ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1751人が本棚に入れています
本棚に追加