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「何で爺ちゃんがここにいるのさ?ここは爺ちゃんの家なのか?」
「うん?…まあ、そんな所かのぅ…」
宗太郎は瞬の問いに、歯切れ悪く答える。
「まあ、それより瞬や、久しぶりだのぅ。道中大変だったみたいだしな?」
瞬は、道中で思い出した。
「そうだっ!爺ちゃん、美音ネエは?」
「美音嬢ちゃんかい?嬢ちゃんならお前を送った後、別室に閉じこもってるが…」
閉じこもってる?
「何でさ?」
「さあのぅ?ただ、何やら呟いていたみたいだが…」
確か…と、宗太郎は白髪頭を掻きながら語る。
「『興奮したって……でも、瞬坊は……でもでも、男の子だし…』とか何とか…顔を真っ赤にしながら呟いていたぞ?何か嬢ちゃんにしたのか?」
瞬は考えた。…が、意識が飛ぶ前の事は曖昧過ぎてよく覚えていない。
「…さあ?」
「そうか…まあ、気にする必要は無いじゃろう…大した事では無いだろうしな…」
それより…と、宗太郎はいきなり姿勢を正し、瞬と正面から向き合う。
「瞬よ…実は頼みがあってお前をここに呼んだんだ…」
祖父の只ならない雰囲気に、瞬も姿勢を正して聞く。
「頼み?」
「うむ……そういえば、お前は自分の父親の事をどこ迄知っている?」
「父親?…父さんは確か…世界中を旅してて、今は消息不明じゃないの?母さんから聞いた話だから信憑性皆無だけどさ…」
「…そうか…やはり、華澄さんは話していなかったか…」
「へ?」
「瞬や…お前の父親はな……ヤクザだ」
「はい?」
「しかも、関東圏最大の暴力団。関東竜神会の二代目をしていた」
「はいぃぃぃぃっ!?」
いきなりの新事実に、瞬はのけ反った。
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