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『見てけれや~!これが大間伝説のマグロ゛ウサマディン・ラディン゛に付けられた傷さ~!奴を倒せるのはオラしかいねっぺだら~!』
そう言って、山田さんは腕の傷をカメラに向ける。
「ほらっ!何か突っ込み所満載だけど、危険なんだってさ!」
そんな瞬の意見にむしろ華澄は不敵な笑みを浮かべる。
「…上等よ…伝説のマグロ゛ウサマディン・ラディン゛…さぞかし美味しいに違いないわ」
どうやら逆に闘争心を煽ってしまったらしい。こうなったら駄目な事を、付き合い長い瞬は知っている。
「…いくの?」
「ええ…愛する息子の為に、私真田 華澄は、戦地に赴くの…」
陶酔に浸る母の姿を見て、瞬はうなだれた。
「なんで僕の為なのさ…」
「あら?知らない?」
華澄が意外そうに瞬を見やる。
「マグロの目は頭にいいらしいじゃない?息子の為に気を使う私…これ最強」
「…母さんが食べれば?」
絶対に足りて無い。
「私はいいのよ!私には一部の隙も無い、そう…英語で言うと『クール・オブ・エキサイト』?」
「意味わかんないよ!?しかも、母親関係ないし!?」
「ま、そんな事はどうでもいいのよ!じゃあ、行ってくるわね?…え~と…」
「?」
「DHCを楽しみにしててね~🎵」
それだけ言って、華澄は自宅を後にした。
「どこの化粧品だよ…DHAだろ…」
一人残された瞬は、ドアを見つめて呟いていた。
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