人生最悪の日

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さて、瞬は気付いていないが(余裕がない)、住宅街、それも昼時の時間帯にも関わらず、人気が全く無かった。 その理由が、無線機から流れてきた。 『あ~、こちらポイントスリーどーぞ?』 声を聞くだけで、気が強そうと分かる女性の声が、無線機から聞こえる。 「こちらレッド。そちらの状況は?どうぞ」 『こちらポイントスリー。車両止め、人払い、共に完了。どーぞ』 『ポイントツーも完了してます。どうぞ』 『ポイントワンも完了よ』 続いて、キャピキャピした声と落ち着いた女性の声が、無線機から聞こえる。 「レッド了解。…みんな、ありがとうね」 『あ~、そんな事はいいんだけどさ…』 ポイントスリーがダルそうに喋り始める。 『いい加減さ、理由を聞かせなさいよ。チーム全員を使って、車両止めとか人払いとか、普通じゃないよ』 「それは…」 美音は言い淀む。が、それでいて車の運転は正確で、直角のカーブをドリフトで抜ける。その際に起る瞬の悲鳴も、激しさを増していく。 『それにさ…な~んか、男の声が聞こえるんだけど…』 声と言うより、悲鳴である。 『デートの為に、私達を使った…訳ではないでしょう?』 ポイントワンが疑問を投げ掛ける。 声は落ち着いているが、返答次第ではタダでは済まない事を、声質で伝えた。 「……彼は華澄さんの息子よ」 それだけで、全てが伝わった。 『ポイントワン了解』 『ぽ…ポイントツー了解!』 『ポイントスリー了解』 「ギャアァァァァッ!」 彼女達が、そんな会話をしている事などつゆ知らず、真田 華澄の息子である瞬は、ひたすら悲鳴を上げていた。
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