人生最悪の日

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瞬は、見知らぬ部屋で目を覚ました。 板張りの天井、畳の香りから、ここが病院ではない事はわかった。 「…何処だ?一体」 病院ではないなら、ここは一体何処なのか……。 敷布団から身体を起こし、部屋を見渡す。 見事な和室であった。 テレビみたいな俗っぽい物が無く、高級そうな壺や茶器が置かれており、泥壁には掛け軸が掛けられていて、掛け軸の下に見事な生け花が飾られていた。 純和風。日本美センスの塊の様な部屋であった。 しかし……。 「わからない…」 瞬自身、こんな部屋を持つ知り合いに心当たりがない。 母親なら、そういった知り合いがいるかもしれないが、瞬は知らない。 「…お?目を覚ましたか」 疑問に悶々としていた瞬に、年配の男性が声をかける。 声がした方を見ると、瞬のよく知っている人物が立っていた。 「爺ちゃんっ!」 「おう。元気か瞬?」 瞬の父方の祖父、牙神 宗太郎が二カッと笑った。
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