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「奴はまだか!まだ来ないのか!」
とある広い屋敷の中の広間で一人の高そうな服に身を包んだ男が、ソファーに座りながら怒鳴った。
「もっもうすぐです旦那様」
いかにも執事ですと言わんばかりの白髪の初老の男が、宥めるように言った。
その初老の男は青白い顔をし額に汗を滲ませている、よく見とソファーに座っている男も同じように青白い顔をしている。
「何で、何で娘が!」
男は先程から何度も唸るように同じ言葉を繰り返している。
その部屋に置いてある家具は誰が見ても高級と分かるものばかりで、もちろん男が座っているソファーも高級なものである。
それを見ても男がかなり裕福な暮らしを送っていることが分かる、その中で男は何かに恐怖していた、得体の知れない何かに。
バンッという大きな音と供に開いたドアから、一人の男が入って来た。
その男は長身で漆黒の髪、大きなサングラスで隠れた顔に黒のコート、両手には指先の無いハーフグローブをし黒いブーツそして全身黒で統一したその服装には目立つ銀のネックレスが印象的だ。
「ひっ、おお前がグレンか?」
ソファーに座る男は黒づくめの男の纏う威圧感に脅えながらそういった。
「そうだ、俺の名はグレン=グラッドレイあんたがクライアントのレイマン=ヒュスカだな?」
グレンは勝手に男の前のソファーに座った。
「いかにも、私がレイマン=ヒュスカだ、ヒレイス例の物を」
先程の焦りが嘘のような口調だが、青ざめた顔と震える足を見と精一杯の虚勢を張っているだけなのが分かる。
「かしこまりました」
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