粉雪舞い散る夜に

10/10
前へ
/77ページ
次へ
彼女は大根を一口食べると、とても幸せそうな顔をして 「とても、おいしいです。 ありがとうございます。」 と言った。 僕は単純にその言葉が嬉しくて、彼女が食べる様子を微笑みながら見ていた。 「鼻の下が伸びてるぞ。みっともない…」 僕の横にいた悟が言った。 「五月蠅い。 伸びてなんかいないぜ。」 僕は悟に言いかえした。 その様子を見て彼女も笑っていた。 しばらくすると彼女はオデンを食べ終わり、 「ありがとうございました。」 と、僕の方を向いて深々と頭を下げた。 僕は少しだけ照れながら 「また、いらっしゃってくださいね。」 と言った。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加