粉雪舞い散る夜に

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「これ・・・」 僕はあろう事か彼女の容器の中に大根を入れてしまった。 「あっ、・・」 彼女は驚いた。 「今回だけですよ。 僕の作ったオデンをほめてくれたからお礼です。」 「いいんですか?」 「どうぞ・・」 僕は、箸を渡して得意げに言った。 「あっ、いいなぁ~」 横で見ていた悟が言う。 「おまえみたいに、オデンの味を分からないやつにはやらん。」 悟は、おなかに何か入ればいいというタイプだった。 それじゃあ、僕が作っているオデンの味はわからない。 『おいしい』と言った彼女の舌が僕には嬉しかった。
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