~禁煙解禁の夜~

3/7
前へ
/20ページ
次へ
   久しぶりの煙草だった。  仕種は手が覚えていたようだが、味はすっかり忘れていた。  久しぶりの煙草は、ほろ苦い味がした。失恋の味と言うのは、ちと古臭いだろうか。    そんなことを考えながら、煙の行方をぼんやりと見つめる。煙草の煙が、夜空に漂うのを。  煙草の火が、薄暗い中にぼんやりと蛍のように浮かんでいるのを……。     
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加