遥へ

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幼い頃のアルバムを開くといつも君がいた気がする 僕らはいつの間にか隣にいて、お互いの存在が当たり前過ぎて何の意識もしていなかった それは、僕だけだったのか君もなのかは聞いた事ないから分からないけれど そんな存在だった君を『特別』に思えたのは、本当に瞬間、予告もない一瞬の出来事だった 覚えてるかな? 夕暮れの道で、まだ小さな桜の蕾を君が見つけて僕に微笑んだ時 僕の中で何か今までにない感情が溢れ返ってきて僕は自分で自分に驚いた もしかしたら 長い長い遠回りをした 『一目惚れ』だったのかもしれないね 僕は衝動的に君に湧き上がった感情を伝えた 「君が好きだ」と 君はあまりの唐突さに驚いて涙を流した でも、すぐに鼻をズズッとすすって小さく笑い答えてくれた 「私も好きだよ」って 嬉しくって嬉しくって あの時の君の笑顔が忘れられないよ
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