クリスマス

10/19
前へ
/303ページ
次へ
『待ってよ!!!!!!ねぇ!!!!!』 上手く声が出なくて、上手く走れない。 私は手を伸ばして追いかける。 『早く来いよ、おいてくぞ』 見えなくなる姿を私は追いかけたけど、見失ってしまった。 いやだ、いやだよ!!! おいてかないで! 待ってよ!!!!! 『 空!!!!!!!!』 私は空と一緒にいた。 でも離ればなれになってしまった。 ポツンとどこかに取り残されて私は寂しさと悲しさが募った。 空!!!と叫んだ時は上手く声が出たのに…… 聞こえないの? 届かないの? やだよぉ… 離ればなれなんか やだよぉ…………… 泣きじゃくっていると 『サヤ!!!!』と声がした。 私はビクッとなって目が覚めた。 目の前には憂祐が心配そうに私を見ていた。 私の目はかすかに潤んでいた。 「………」 悪夢だ。 「大丈夫?何かうなされてたよ?」 憂祐の声にハッとして「あ…」とボーッとする頭で状況を把握しようとした。 「さっき帰ってきたんだけど…何でソファーで寝てんの? 何か嫌な夢見た?」 憂祐が言った。 「あ………。 ごめん。。憂祐の帰り待ってようとここで寝ちゃった」 私は夢の話をしないで答えた。 「風邪ひくよ。ベッド行こう」と言う憂祐の頭をクシャクシャなでた。 「え!?何!!?」 憂祐はびっくりして言った。 「変な頭。」 それだけ言って私は寝室に向かった。 「えぇ~~!結構キマッテるんだけど!!?」 憂祐は後ろからクレームをつけながらついてきた。 私はクスッと笑うと布団に入り、出来るだけいい夢を見れるように願って目をつむった。
/303ページ

最初のコメントを投稿しよう!

552人が本棚に入れています
本棚に追加