クリスマス

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「お、よく分かったね~」 憂祐は感心して言ったが、「いやあんなに近くで話されたら分かるよ。しかも栞ちゃんはインパクトあるから(笑)」と私は言った。 「あいつの気迫は怖いよ。私こんなに使ってるんだから!みたいな。最近ちょっと痛いけど、まぁまだ大人しい方かな」 憂祐は大金積めば何されても許されるというような客は嫌いで、容赦なく切ったりもした。 客数ある余裕かよ と私はひがんだりもした。 「まぁ、たっぷり夢見させて来いよ♪」と私は意地悪く笑った。 「こわっ!!!!」 そうやって男を騙すんだ!と憂祐は言った。 私は無言で皿とフォークと包丁を片し、ケーキを冷蔵庫に入れた。 そして、ぼちぼち時間だな…と着替えをして仕事行く準備をした。 化粧落としと… コテと… 化粧品はフルで持って… 「………」 準備をする横で憂祐が私のバッグの中身を見て首を傾げた。 「コテ…??は分かるとして、なぜ化粧落とし?」 ……うっ…… 憂祐はジッと私を見る。 私は「ガッツリメイクしてると、仕事終わった途端に落としたくなるんだよ。スッピンでサングラスで肌はスッキリ☆」とニコっと笑って言った。 「ふーん。女って大変だね」 憂祐は信じた。 仕事で嘘つきまくってるのに、私生活でも嘘ついてる自分どーよ。 しかも彼氏に。 私は自分に突っ込みを入れて、同じ嘘を商売とする憂祐に見抜かれないように「まぁ、どこも行かなかったらね。陽平くんとも分からんし。用意周到で!」と更に付け加えた。 「まぁ、お前は結構使わなくても念のため!で色々持つタイプだもんな」と憂祐は納得した。 はーぁ…。 セーフ、セーフ。 一旦化粧落として、また化粧してR店に行くなんて知ったら殺されそうや…。 ま、気が向いたら化粧し直そう♪ 心の中でブツブツ言って、玄関に出た。 憂祐は見送りをしながら、「あ…」と何か言いたそうな顔をした。 私が ん?と憂祐を見ると、「俺今日遅くなるかも…」と気まずそうに言った。 「あ~、今日大変なの?栞ちゃんも張り切ってシャンパン凄い入れそうだしね~」と私は他に来るエースやら何やらと思った。 でも憂祐は「いや………」と濁らせた。 「え?」 私は 違うの?と言う風に憂祐の言葉を待った。 「……今日さぁ…綾が来るんだよね……」 綾? …………あぁ、綾美さん。貴方の元カノ『リリカ』さんね。 てか前は“綾美”だったのに今じゃ“綾”かよ。 一気に思い巡らせ私は「それはお疲れ様☆」と笑って言った。
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