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私は夜を始める前で、京橋でまだ着物を着ていた頃。
ほぼ銀座にあるその職場で、昼と夜働き、スピード出世していた。
銀座中央通り。
そこでお客様のタクシーを呼び、案内してお見送り。
私は着物を着て、中央通りに立っている事に誇りを感じていた。
敷居が高そうな店で接客マナーを覚えて、毎日バリバリ仕事をこなして後輩を育てていくのが楽しくて仕方なかった。
和食会席のお店で全室個室のきちんとしたお店なのに「君銀座行きなよ!!紹介してあげようか!!」とお客様にホステスを勧められたが、ニッコリ断っていた。
そんな店でお客様からバンバン名刺を頂いていて(名刺は貰ったらいけない規則。貰ったら店長に渡す事になっていた)あげく、リピートするお客様には「部屋担当してよ!!」と指名すらきた。
担当する部屋は決まっていて、多くて6~8。伝票も料理把握も全て自分。
だいたい6部屋担当なんか並みならない。
それに加わり、後輩達の部屋の面倒や苦情処理も私の役目だった。
夜の世界とは全くの無縁な私。
ホステスもホストもテレビの中の世界。
そう思っていた。
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