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何かを言い淀むように唇を噛み、待ちます、とそれだけをよくやく絞り出した。
「……染谷さん、だっけ」
「はい」
「あんたも物好きだね。慶介は平気で一ヶ月くらい姿眩ます人だからさ、今日帰って来るなんてあんまり期待しない方がいいよ。とりあえず、雨が上がるまでまっても来なかったら、日を改めたらいいと思うな」
「――だって、今日は六月の第三日曜ですよね」
「ん? そうだと思うけど」
「……ああ、じゃ、やっぱり今日で間違いはないや」
モゴモゴとそんなことを言いながら、染谷は壁に掛けられたカレンダーで何度も何度も日付を確認している。
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