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「あいつは本当に…友達想いのいい奴だな…。」
ぽつりと環が呟く。
それを聞いた奏は
「そうだょ。私の、自慢できる1番の親友だもん。」
と答えた。
「―…なぁ、奏…。あの時は…」
「いいよ!!」
何か言いかけた環を、ぴしゃりと制止する。
「もういいから。…話ってなに?」
環が申し訳なさそうに目を伏せる。
何だか悔しそうに唇を噛み締めていたが、やがて意を決したように話し出した。
「お前…、森泉綾って奴、知ってるか?」
「うん。クラスメートでしょ?私の。」
「そいつが自殺した事は?」
「知ってる。」
「お前…そいつと仲良かったか?」
「――…え?」
環の言いたい事が理解出来ずに、奏は思わず聞き返した。
森泉綾とは仲が悪かった訳ではない。
だが、森泉とは全く関わった事もなかったし、親しく話した記憶さえない。
ついさっきまで名前すら知らなかったのだ。
「どうしてそんな事聞くの?」
思った事が、そっくりそのまま言葉になった。
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