254人が本棚に入れています
本棚に追加
その日。
奏は学校を休んだ。
遥香には、『たまたま気分が悪くなって』と、苦し紛れの嘘をついた。
―――だって、どうしたらいい?
自殺した子から、突然遺書が届いて。
『あたしと一緒』って言われるんだよ?
奏は相当気が滅入っていた。
元々そんなに打たれ強い子ではない。
それが解っていた環は、一日奏の側にいてやる事にした。
―――その行為が更に遥香の逆鱗に触れると、解っていても。
「…大丈夫か?」
近くの公園のベンチに腰掛け、環が訪ねた。
「―…大丈夫。」
顔を真っ青にしたまんまの奏が答える。
―――それ以外、何て言えたろう?
私にはわからない。
だってどうしていいかわからない。
ただ怖くて。
震える事しか、出来なかったんだ。
環は黙って、そんな彼女の側にひたすら居続けた。
何時間こうしていたかわからない。
いつの間にか、とっくに日は沈んでいた。
でも、何時間でも環は側にいるつもりだった。
―…それ以外、自分に出来ることが思いつかなかったから。
最初のコメントを投稿しよう!