招待状

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「おはよー!!」 「おはよー!」 がやがやと賑わう通学路。 今日も同じ制服を着た学生達が、元気よく登校していた。 「かーなでッッ!」 ふいに、後ろから肩をぽんと叩かれる。 奏は一瞬で相手が誰かを理解し、応えようと振り返った。 「おはよー遥香。」 奏は、にっこりと笑って挨拶をする。 ――青木遥香。 カールがかった長い艶やかな髪に、くりくりとした薄い茶色の瞳。 ぱっと見どこかとのハーフかと思う程の西洋人形ばりの容姿をした少女が、奏を見つめて立っていた。 「おはぁッッ!!あー今日もだるいねー!」 まだ一日始まったばかりだというのに、けだるそうに遥香が言った。 遥香は中学の頃、奏のクラスに転校してきた。 その頃から大の仲良しで、今では親友と呼べる程の仲である。 見た目とは大きなギャップのある男勝りな性格の遥香と、見た目通り物静かでおっとりとした性格の奏。 全く正反対の二人だったが、それぞれが足りないものを補うかのように、関係は何年も上手くいっていた。
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