1話

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息を切らして教室へと入る。心臓の鼓動がドクドクと速い。 さゆり『間に合ったー…』 『さゆり、おはよ。マジギリギリじゃんっ』 さゆり『寝坊しちゃってさーあはは』 すぐに席に着くとチャイムが鳴り、今日も学校が始まった。 ─────────── 屋上に行くと、口をもごもご動かしてる人が居る。 さゆり『しんちゃん、おはぁ』 慎『おー、さゆり。ちーっす』 しんちゃんは、悠の同級生。 ちょっと気が多いとこあるけど、色々相談に乗ってくれる、もう1人のお兄さんみたいな感じ。 しんちゃんは甘党なのか、ずっとチョコや飴などを食べている。 さゆり『今日は何食べてんの?』 慎『今日はメロン味の飴、お前も食う?』 ポケットから小さい黄緑色の袋を取りだし、その手を差し出された。 さゆり『さんきゅっ』 パクっと飴を口に入れると、メロンの甘い香りが口に広がる。 何気にグラウンドを見下ろしてみた。 写った光景は、悠…… 隣には髪の長い可愛い人。 溜め息しか出ないよ…。 最近の悩み。 それは悠に好きな子が居ると言う事。 フェンスの網を握ってる手に思わず力が入る。 慎『さーゆりっ?』 さゆり『…なに?』 見上げるぐらい身長が高いしんちゃん。 頭を軽くポンポンしてくれるのは、あたしを慰めてるんだろうと思う。 しんちゃんは、あたしが悠を好きな事を知っている。 だから、よく話を聞いてもらったり悩みを打ち明けてる。 見た目とは裏腹で意外に口が堅いのを、あたしは知ってるんだ。
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