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息を切らして教室へと入る。心臓の鼓動がドクドクと速い。
さゆり『間に合ったー…』
『さゆり、おはよ。マジギリギリじゃんっ』
さゆり『寝坊しちゃってさーあはは』
すぐに席に着くとチャイムが鳴り、今日も学校が始まった。
───────────
屋上に行くと、口をもごもご動かしてる人が居る。
さゆり『しんちゃん、おはぁ』
慎『おー、さゆり。ちーっす』
しんちゃんは、悠の同級生。
ちょっと気が多いとこあるけど、色々相談に乗ってくれる、もう1人のお兄さんみたいな感じ。
しんちゃんは甘党なのか、ずっとチョコや飴などを食べている。
さゆり『今日は何食べてんの?』
慎『今日はメロン味の飴、お前も食う?』
ポケットから小さい黄緑色の袋を取りだし、その手を差し出された。
さゆり『さんきゅっ』
パクっと飴を口に入れると、メロンの甘い香りが口に広がる。
何気にグラウンドを見下ろしてみた。
写った光景は、悠……
隣には髪の長い可愛い人。
溜め息しか出ないよ…。
最近の悩み。
それは悠に好きな子が居ると言う事。
フェンスの網を握ってる手に思わず力が入る。
慎『さーゆりっ?』
さゆり『…なに?』
見上げるぐらい身長が高いしんちゃん。
頭を軽くポンポンしてくれるのは、あたしを慰めてるんだろうと思う。
しんちゃんは、あたしが悠を好きな事を知っている。
だから、よく話を聞いてもらったり悩みを打ち明けてる。
見た目とは裏腹で意外に口が堅いのを、あたしは知ってるんだ。
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