目覚め

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目覚め

意識が戻るとそこは 暗闇。 名前さえも分からない。 もちろん さっきまで自分が何をしていたのかも 自分がなぜここにいるのかも なぜ暗闇なのかも。 今はただ… この暗闇をひたすら進んでいる自分がいた。 何もない。 ただの暗闇なのに なぜか何かを目指して歩いてる自分がここにいる。 考える力さえも今はあるのか、ないのか。 そんな事を思いながら いったいどれくらいの距離を歩いただろう。 疲れも何も感じない。 しかし ふと前を見ると人型に光ものを見つけた。 子ども? 自分はふと見た瞬間そう感じた。 顔は見えないが 明らかに人の形をしたものが光っている。 『誰?』 返答はない。 足速にその子のところへ向かう。 今の自分に答えをくれるかもしれない。 しかし 近づくにつれて光りが目を刺激し まぶしくて前に進めなくなる。 ゆっくり進んでいると しだいに目が慣れてくる。 しかし子どもの顔は見えない。 あと一歩のところで 子どもが話し掛けてきた。 『やっと来たね。これが約束のものだよ。』 幼い声だ。 子供だと確信した。 『約束?』 『手、出して。』
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