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部屋に向かう。個室だ。扉には深津咲子と名札がある。胸が熱い。ノックする。部屋には誰もいない。ナースステーションに行くと、別の部屋に案内された。
「4時間ほど前に亡くなられました…」
稲葉が扉を開けると、みんないた。ふらふらとベッドに近付く。そこには咲子がいた。狂うほど愛し、自分の人生を変えた女がそこにいる。
「申し訳ないですが、2人にしてもらえませんか?」
若い女がみんなを連れ出す。
稲葉は胸を触った。痩せたね。そこにクチヅケをし、だんだん上へ、唇を重ねる。涙が溢れる。本当に冷たい。冷たくなってしまった。
外に出る。みんないる。紹介された、恵、麻里、ご両親、そして…
学生服姿の男の子が顔をあげる。驚愕した。自分の子供の頃とそっくりだ。恵は咲子に似ている。不思議な感覚でその光景を眺めた。
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