681人が本棚に入れています
本棚に追加
早々と飾られた
クリスマスツリーのそばには
光のアーケードが出来ている
イルミネーションが
七色に光っていてキレイだ。
「歩いてみようよ」
雄介が手を引っ張る。
私は引っ張られるがままに
アーケードをくぐった。
まるで虹の下を通ってるみたいだ。
キラキラと輝いて
私にはまだ眩しい。
私には左手の
たったひとつの光でさえも
眩しいのに。
「あっ」
焦ったような声と共に
雄介がまた腕を引く。
「約束の時間に遅れる!」
私は腕時計を見た。
もうすぐ6時になる。
待ち合わせは6時半だ。
急に現実に戻った私たちは
アーケードを駆け抜けた。
今日は私の両親に
挨拶に行く。
交差点の信号が点滅し始めた。
渡りきると
私たちはバカみたいに
笑った。
私たちはこれからも
手をつないで生きていく。
ずっとふたりで。
〈終〉
最初のコメントを投稿しよう!