Truth

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「はい」 出たのは隆だった。 「突然ごめんなさい。 桜井です。香織いますか。」 隆が息をのむのを感じた。 「ちょっと待ってて」 受話器がおかれた。 少しして、出てきたのは隆だった。 「どうぞ。散らかってるけど。」 私は案内されるままに リビングのソファに座った。 「香織は?」 隆はお湯を沸かしながら 「今、出てるよ。 悪いね。今日は遅くなると思うよ。」 そう言うとカップを出した。 「コーヒーでいいかな」 「ありがとう」 また居ないのか…。 ことごとく運に見放されているな。 隆は私の前のソファに座った。 「久しぶりだな。 元気だったか? って言ってもこの間会ったな」 テレたように笑った。 この顔、大好きだった。 「うん。元気だったよ。 そっちこそ香織と結婚してたなんてね。 驚いたよ…。」 隆は静かに笑った。 沈黙にお互い思いを巡らせていた。
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