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「そうだな…。
正直、文緒と付き合ってるときは
『生徒と付き合ってる』
って感覚がどうしても拭えなかったんだ。
だけど香織は会ったときから
『香織』
だったから違和感がなかったのかもしれないな。」
「そっか……。
いいな……。香織が羨ましい。
ちゃんと一個人として見てもらえてるんだね。」
「文緒……。」
「ごめんね。
こんな風に…こんなこと言いに来たんじゃないのに。」
涙がこぼれた。
煙草の煙が私を纏う。
「本当は文緒に会える立場じゃないって解ってるんだ。
あんな非道いこと言って
子供…おろさせて。
知らなかったとはいえ
次は文緒の友達に手出して……。
ホント、最低だよな。」
私は隆を見つめたまま何も言わなかった。
罵って欲しいだろうか。
最低だ、と
土下座しろ、と?
全て『今更』だ。
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