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ベランダに出て景色を見ていた。
今日も星一つ見えない。
最近仕事から帰ってきたらいつもベランダに出ている。
何をするでもなく
ただぼんやりと景色を眺めている。
この小さな灯りのどこかに文緒の暮らしがある。
あのムービーを見てから
その光景が焼き付いて離れない。
顔を見るのも声を聞くのも
耐えられないと思った。
そうして避け続けて分かったこと。
会いたいということ。
許せることじゃない。
僕はそういう女が大嫌いだ。
それは昔から変わることはない。
それなのに
どうしてこんなに会いたいんだろう。
自分に自分で疑問が浮かぶ。
自分の気持ちが分からないなんて。
霧がかかったように前が見えない。
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