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『雄介、私は…』
あの日の文緒の顔が何度もフラッシュバックする。
本棚の上に飾ってある
2人で撮った写真を見つめた。
文緒の控えめな笑顔に比べて
僕はこれ以上の楽しいことなんてないみたいに笑っている。
この頃に戻れたらいいのに。
私は、の続きを
聞きたい気持ちはまだ間に合うだろうか。
許すことは出来ないかも知れない。
だけどあの日
『文緒に手を出すな』
口を突いて出た言葉も
僕の本音だった。
僕は携帯に手を伸ばす。
もう夜中の2時だ。
こんな時間に電話をかけるなんて非常識だ。
それでも
今、気持ちを聞いて欲しい。
気持ちを聞きたい。
僕はボタンを押した。
………
呼び出し音が長く感じる。
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