Hydrangea

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この学校は校内禁煙じゃない。 なぜならば 我らが校長がヘビースモーカーだから。 故に喫煙室なるものが設けられ、そこには煙草の販売機があるんだけども。 もちろん生徒は使用禁止。 喫煙室には授業中鍵がかかってる。 まぁ、ちゃっかり合い鍵とか作ってんだけど。 「ぇ、見間違いじゃね?」 「顔、引き攣ってますけど」 ニッコリ笑顔はそのままに、もともとそんなに離れてなかった距離が縮まる。 座っていた俺は逃げることもできず。 「えっ、ちょ、何!?」 ブレザーの襟元をガッと掴まれ、その勢いのまま脱がし…… って まてまてまて 「やめっ――」 声を出した時には既に遅く 一瞬、全ての時間が止まった気がした。 ブレザーの内ポケットから落ちた煙草を拾う会長の、ゆっくりとした動作が余計にそう感じさせるのかもしれない。 「放課後、生徒会室で待ってますよ」 会長が去った後も、俺は唖然と宙を見つめていた。
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