California poppy

3/5
前へ
/58ページ
次へ
  「っ、あ…」 静寂の合間に漂う甘い声。 シーツにしがみつく、淫らな姿も相変わらず。 なのに 繋がっていても満たされない。 一つになってるはずなのに。 この腕の中にちゃんといるのに……。 隙間なく掻き抱き密着しても、俺とお前との境目が溶けて混ざり合うことはない。 お前と唇を合わせても、同じ吐息が吐き出されることはない。 毎夜体を重ねても、お前が感じる快楽を俺が感じることはない。 そうだ俺は、お前が俺と別の人間であることが許せない。 俺と別の思考を持ち、俺と違う空気を吸う。 決して交わることはなく、常に俺以外の何かに介入されていることが堪えられないんだ。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

190人が本棚に入れています
本棚に追加