California poppy

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  ひゅっと、空気が凍る。 信じられないと言うように見開かれた目が、無神経なほど俺を見つめて。 首においた手に力を込めた。 やっと、この欲望を満たす方法が思い付いたんだ。 俺の知り得ないことを考えるなら、思考を停止させてやればいい。 俺と違う空気を吸うなら、呼吸を止めてやればいい。 俺の意志に関係なく動くなら、動かなくしてやればいい。 俺だけがこいつの全てであるように。 滲みるような痛みが腕に走る。 バタバタと暴れていた身体は今では随分と大人しい。 呼吸はしていない。 たぶん、脳も機能していない。 全て望み通りになった。 なのに。 なんだ?この、喪失感は。 満たされるどころか、穴の開いた底から零れていくようだ。 「…蒼(ソウ)」 呼んでみても、返事はなく。 望んでみても、微笑みはしない。 「蒼…」 俺は、俺とお前以外の全てを取り除いてしまいたかった。 だから殺したのに。 残ったのはただの抜け殻。 俺さえも手の届かない、見えない何かに蒼を掻っ攫われてしまった。
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