序章『遭難』

2/4
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「久しぶり。」 今日はよくこの言葉を耳にする。 なぜなら今日、4月20日は高等部の時クラスメイトだった連中が集まって船上パーティーを催しているからだ。 何故って?それは去年の卒業式の後で皆でそう決めたからだ。 だって、卒業したらはいサヨナラじゃ惜しい面子が揃ってるんだ。 もったいないと思わないか? でも、俺の目的はちょーっと違うけどね。 「昴!一年ぶりだね。 元気してた?」 「おう、見ての通りさ。」 「まぁアンタがどうにかなるなんて想像付かないけどさ。」 「ハハハ、ひでーな。 俺は繊細なんだぜ、ちったぁ心配しろよな。」 「くく、一度辞書で繊細の意味を調べてみたら? きっと間違い気付くから。」 俺と馬鹿話に花咲かせている少女(19歳がまだ少女の範疇ならだが)が 『日高陽緒』 彼女こそ俺が自腹切ってまでこんな集まりを開いた目的だった。 そう、高等部1年の頃、剣術部に所属していた時から俺はこの子に惹かれていた。 「陽緒こそ元気そうじゃん。 さすが『暴れ獅子』は伊達じゃないな。」 「ム、暴れ獅子言うな! 勝手に変な仇名つけてー。」 「剣術部男子50人抜きなんて常識はずれな事するからだろう?」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!