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チュイイ~~ン…
ピーガラガラ…
独特のノイズ音が耳に入る。
あまり好んで聞きたい音ではないが、俺達は注意深く耳を傾けた。
『なぁ、学ぅ。』
「どーした、トモ。」
久しぶりに口を開いた俺達。
その声は、明らかに疲れていた。
『何も聞こえないじゃねーか。』
「何も聞こえねーな。」
もうかれこれ2時間もラジオのノイズだけを聞いているのだ。
飽きるし疲れるし、それに眠くなってきた。
『…眠いな。』
「ああ、ホントに…な。」
ピーガラガラ…ザッザー!ピーガラガラ…ザザー!!
『うん?』
あれ、俺…いつの間にか寝てたのか。
傍らでは、学もうずくまって寝ている。
ラジオも付けっ放しで。
もういい加減、このノイズうっとおしいぜ。
消すか…。
そう思ってスイッチに手を伸ばしたその時だった。
「たす…たす…。」
『え…?』
空耳か?いや、今確かにこのスピーカーから人の声が!!
「ピー…ザザー……ちゃん…たす…け…ガラガラピー…。」
ノイズの中に雑ざってなにか聞こえる。
若い女の声と…水の音…?
『おい学!起きろ!起きろ!』
俺は慌てて、学を叩き起こした。
「なんだよ~人が気持ちよく寝てるのに…。」
目を擦りながら不服そうに言う学。
『聞こえた、聞こえたんだ!変な声が!』
俺の言葉に学は、空中で宙返りせん勢いで跳ね起きた。
「まじか!?」
『ああ、このチャンネルだ。』
「ピーガラガラ…ピーガラガラ…」
俺達は、注意深くそのノイズを聞く。
しかし聞こえるのは、変わらないノイズの音。
「聞こえねーじゃないか!」
『あれ?さっきは聞こえたのに…。』
「お前の空耳じゃねーのか?」
空耳なんかなぁ…。
頭を掻いて考え込む俺に、学は言った。
「まぁ、とりあえずこのチャンネルをメモっとこう。…○○○chと、これでよし。今日はもう寝よう。」
「グーグー…。」
学のやつ、もう寝た。早っ!!
…俺も寝るか。
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