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そのどぶ川の光景は、いつも見るどぶ川からは想像もつかなかった。
茶色く濁った水が激しく流れていた。
水位も、いつもの何倍も増加していて、大人でも頭が浸かるほどの水深になっていた。
「おおーすっげぇ!こんなの、初めて見た!」
興奮する宏樹につられて太一や太郎もはしゃぎ出した。
「ねぇー帰ろうよー。」
幸子だけは、どうしても3人のテンションに付いていけなかった。
「ねぇー3人とも、怖くないの?」
「そりゃ怖いよ。」
幸子の言葉に、太郎が答える。
「えー、太郎。お前、男のくせにこんなのが怖いのか?」
宏樹が太郎を挑発した。
「こ、怖くなんかないやい!な、なぁ、太一。」
「お、おうよ!」
太一も真顔で頷く。
「じゃあお前ら、今から度胸比べしようぜ。」
宏樹が口にしたこの言葉が、この後の悲劇のきっかけになった。
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