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慌てて戻った幸子の目に映った光景は、慌てて混乱している宏樹と太一、そしてかろうじて片手で水門に掴まり、落ちそうになっている太郎だった。
「ああぅ!いたいっ!いだいいだ~い!!」
声にならない声で泣き叫ぶ太郎。
よく見ると、片手で掴まっているのではなく、水門の隙間に小指だけが引っ掛かっている状況だった。
「くそ~だめだ!」
必死に手を伸ばし、助けようとする宏樹と太一であったが、太郎まで手が届かない。
「だめよ!誰か呼ばなきゃ!」
幸子が叫んだ。
「そ、そうだな。太一はあっち、幸子はあっちへ探しに行ってくれ!」
宏樹の呼び掛けに、3人は一斉に別々の方向へ走った。
泣き叫ぶ太郎をその場に残して。
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