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幸子の指差した先には、水門の隙間に引っ掛かっている何かが見えた。
「こゆび…。」
幸子が震えた声で言った瞬間、宏樹と太一は恐ろしさのあまり、一目散に逃げ出した。
その後、幸子は忽然と姿を消した。
太郎は3日後、10数キロ離れた下流で死体で発見された。
左手の小指がない状態で。
今はもう、誰も近づかなくなり、すっかりさびれたそのどぶ川の水門。
まだそこには、太郎くんの小指だけが残っていて、夜になると、うめき声が聞こえてくるという。
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