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その部屋は、木で覆われていた。
所々にボロを着た女達が横たわり、体の一部に木が絡みついている。
その木を目で追えば、一人の女性の足下にたどり着く。
「…アルノルト…」
振り返った女性は大輪のバラのように美しく、それでいて清楚な空気を纏っていた。金の混じった緑の瞳は見るものを惹き付ける。
それは部屋の異様さを一掃できるほどだ。
ノーアは思わず息を飲み、鼓動が早くなるのを感じる。
「性別は違うが、若さがある。活力がつくと思ってね」
アルノルトと呼ばれた男は、夢を見ているかのように女性に話しかける。
「必要ないならちゃんと『処分』するよ」
その言葉にノーアは悪寒を感じる。
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