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屋敷の窓から庭を見る。
土の聖霊の力が弱まっている庭は、心なしか茶色が多く彩りにかける。
「あの、よろしいですか?」
ヤンは、突然かけられた声に我を取り戻し、屋敷の中に視線を戻す。そこには、この屋敷の使用人が一人いた。
「お耳に入れておきたいことがあるのですが…」
「え、あ、はい、何ですか?」
ヤンは神妙な使用人の態度に姿勢を正す。
「はい。先程、不審な男を捕まえました」
「不審な…?」
「はい」
ヤンはこめかみをつつきながら、おかしいなぁと呟く。
それと同時に下を見たせいで、その使用人が一瞬笑ったのに気付かなかった。
「その男が変な粉を撒いて他の使用人を眠らしたり、連れの子供を返せとうるさくて。いかが致しましょう?」
使用人の言葉でヤンの目が大きく見開かれる。
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