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「変な…粉、で眠っ…た?」
「はい」
確かめるように呟かれる問いに、使用人ははっきりと返事を返す。
ヤンは焦ったように独り言を呟き、また使用人を見る。
「その人、僕と同じ土の聖霊使いかも知れません!後で見に行きます。注意して見張っ」
「ビンゴ」
使用人はヤンの言葉に口元を歪め、笑みを作る。
驚いたヤンは使用人を凝視した。
見たことのある顔が揺れる。それはまるで幻が消えていくようだった。
「!…地の精霊よ…っ!」
そこに現れた顔は、ヤンの全く知らない人物の物。
反射的に精霊術を使おうとするが、男が瞬時にヤンの足に蹴りを入れる。
痛みは弱かったが衝撃にバランスを崩し、床に膝をつく。
「っと、わりぃな。『土』をあんまり酷使しないでくれな」
飄々とした口調に顔を上げる。そこには30代の緑髪の男がいたずらっぽくニヤリと笑みを浮かべていた。
「…あ、あなたは…?」
「ただの気ままな風来坊よ。大層な者じゃねぇ」
男…フランクはそう言うとヤンに手を差し出した。
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