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クララは木の幹を女たちから退かす。
すると部屋を覆っていた蔦は消え、女たちが次々に起き始める。
疲れているようだが、命に別状はない様子にノーアは少し安心した。
「女に生まれし者たちも、すまない。少量とはいえ、『気』を吸われるのは辛かろう」
「い、いエ…前ノ生活に比べれバ、マし…デす」
項垂れる女たちの中で一人、気丈にも顔を上げる。
30近くに見えるその女の瞳は力強い。
その輝きは見た目より若い事を伝えてくる。
「あ、あノ…」
ノーアは彼女たちの会話が一区切りついたところで声をかける。
「あなたハ、なンでココにいるノ?」
ノーアはずっと疑問に思ってた事を聞く。
その問いに周りの者たちは興味を持ったのか、顔が上がる。
集まる視線を気にする事なく、ノーアはクララに好奇心に満ちた目を向ける。
「ここに来て初めてだ。その質問をされるのは…」
クララは花が咲き開くような微笑みを浮かべた。
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