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塀に囲まれた奴隷市を抜ければ静かな住宅地。
男は褐色の少年の手に付けられた枷を外し、放り投げる。
「よーし。小僧、間違いじゃなきゃコイツが見えるんだな?」
男は言いながら何もない宙を指差す。
少年は指された方を見つめ一つ頷く。
「こいつはたまげた。こんな所で風使いの卵を見つけるとはなぁ」
笑い混じりに言えば、髪の毛が不自然に舞う。
『そんな事を言ってる場合か。交渉者』
そよ風のような囁きが少年の頭に響く。驚いて宙を再度見る。
そこには風の聖霊が渦を巻き男を見ていた。
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